2014.6.11(水) 呪縛
親父が亡くなって三ヶ月。
相続や名義変更もほとんど終わり、
遺品処分も少しずつ始めてる。
遺産で自宅の修繕もしようかと思い、
以前親父がどこの業者に依頼したのかを調べた。
見ず知らずの業者に頼んで粗悪な工事されたり、
水回り工事の度に違う業者に頼んでいたり、
そもそもこの工事な何のためにしたのだろう？ってものが出てきたり。
想像はしてたが、
やれやれだ。
昔から調整能力やコミュニケーション能力がメチャクチャ低いクセに、
自分はそういう能力が優れている・得意であると思っていて、
周囲が手伝うとか俺が代わりにやるとかって無理だった。
実際大変な目にも合ってるのに学習能力もなかった。
「間違いや過ちや騙し騙されは必ず取り返せる」っていう理想しか認められなくて、
端から見てると理路整然と駄々捏ねてるようにしか見えない。
哀れなほどなんだけど、
見ていて腹立たしかった。
十の損害を取り返すのに百の労力をかけたりもしてた。
でも自分は正しかったと誇らしげ。
学歴も能力も低いのに、
たまたまいいところに勤めていたから給料もよくて、
定年退職後も悠々自適。
サービス残業とか非正規雇用とか、
真っ当に働いても結婚も出来ない収入とか、
そういった現代社会の現実とは無縁な隔離された社会で生きてた。
でも自分は現役時代苦労してきたって自負があり、
子供から社会人となった俺や兄貴はマトモな大人同士のコミュニケーションなんか出来なかった。
そんな親父も酒で頭がイカれて、
キチガイみたいな一年間を経て三ヶ月前に亡くなった。
現金や土地家屋も半分以上は俺が相続して、
一生遊んで暮らせるほどではないが、
非正規で低所得で財産なんか皆無だった俺にとっては桁違いの財産が手に入った。
今の収入のままなら老後の蓄えなんか不可能だから、
親父の遺産は全て俺の老後の蓄えにしなけりゃならない。
でも相続した家の修繕はしなきゃならない。
親父の世話をした一年間に把握した親父の年金収入や預貯金を見て、
なんて恵まれてるんだと腹立たしく思ったが、
認知症でも親父が生きてる間は親父自身の金で親父の面倒見るって決めてた。
当然だけど俺の労力のねぎらいも親父の金から出した。
そんな生活も一年で終わり、
もう三ヶ月。
なのに未だに親父の呪縛から解き放たれない。
もう親父はいないのに。
