2015.12.5(土) こんな現実も、ある
重度の認知症。
相対した人にしか分からない現実が、ある。
「でも自分が選んだ結果でしょう?」
「でも今仕事続けられてるでしょう?」
そうじゃあないんだけど、今目に映る景色でしか判断しないヤツには分からない事がある、
そんな事は介護に限った事じゃあないと思うんだけどなあ……。
分からないヤツには分からない事ってある。
「でも自分が選んだ結果でしょう?」って、選択肢が全て自分にあるヤツの感覚。
選択肢なんかなくて、それしか道がなかった末の現在だけを見て「でも自分が選んだ結果でしょう?」って言うヤツには、「選択肢がない」って想像もつかないんだろう。
反論も聞いてはくれない、だからしない。
ただ彼の口からそういう発言が出る事が残念。
重度の認知症相手には、選択肢なんかないって事が当たり前にあるのに。
己の身を守る為に脳挫傷を負わせるほど腕力を使って、でも警察沙汰にならなかったのは救急医のお蔭。
脳挫傷を期に馬鹿親父を介護される身分にした俺。
それを「でも自分が選んだ結果でしょう?」って言われてもなあ……。
これが世間一般の感覚なんだと思うと、彼を責める気にはならない。
ただ、認知症相手に「でも自分が選んだ結果でしょう?」なんてセリフが言えない現実もある。
知らないヤツには分からない現実。
俺はそれを罪だとは思ってないけど、一生背負っていく経験だとは思ってる。
こんな経験、出来ればしないまま一生を終えたかった。
こんな現実も、ある。