また雪景色だ。
軒下のバイクにも雪が積もってしまうので、
バイクにはブルーシートを被せてある。
専用のバイクカバーは破れてボロボロなので部品取り用の不動バイクに被せてある。
最近ろくな事がないが、
せめて通勤だけでもバイクに乗れれば心の寄りどころにはなるのに。
峠をブン回したい。
高速を飛ばしたい。
海をのぞみながらシーサイドラインを走りたい。
田舎道をのんびり走りたい。
氷点下だが路面は乾燥した街中を厚着して走りたい。
今俺が直面してる困難は、
バイクに乗ったから解決する事ではない。
でも、やはりバイクに乗りたい。
こんな状態だからこそ、
せめてバイクには乗りたい。
バイクに乗りたいけど雪で乗れないから、
もう雪はいらないよ。
毎朝会社に行く時と、
毎晩帰宅した時に、
バイクの横を通り過ぎる度に「コイツに乗れたらなあ」って思う。
夏とか冬とか暑いとか寒いとか関係なく、
あのブルーシートの中には雪は存在しない。
ブルーシートに隠れて見えないが、
あの中あるのは単なる「バイク」というモノではなくて、
「バイクでしか感じられない走行感覚」がある。
今の俺には天国とすら感じるであろう世界が、
あのブルーシートの中にはあるんだ。