2014.3.14(金) 通夜で
通夜で後悔した事がひとつ。
意外な弔問客が来た。
近所の子供たちだ。
親父を相手に以前よく休日に遊びにきていたのは知ってるが、
どこの子供かも知らなかった。
会話もした事ないし、
正直無視してた。
勝手に家にずかずか入ってくるし、
親父も何処の子供たちかを分かってないんじゃないかなって思ってた。
葬儀は限られた親族だけてやる事に、
俺が決めた。
近所への告知も最低限。
俺は密葬とか、
火葬場直行とかにしたかった。
通夜も省きたかった。
俺にとってはそういう親父だったのだけど、
親戚の考えも聞かない訳にはいかなかった。
いろいろな妥協と、
俺の考えも一部貫き通した末の、
親父の葬祭。
親戚への通夜振舞いが終わったのを見計らって子供たちが沢山来た。
親戚が帰るのをずっと待ってたんだ。
以前から「なんであんなアルコール依存の暴力認知症の馬鹿親父になつくのだろう？」と疑問だった。
親父が内弁慶なのは分かっていたが、
ずーっと親父に悩まされてきた俺はガキどもなんか知った事ではなかった。
１年前、
暴れる親父を力で征して、
それがきっかけで入院。
それから認知症も肝臓も一気に悪くなって、
病院と老人ホームを行ったり来たりするようになり、
家に帰る事は一度もなかった。
子供たちにしてみれば、
よく遊びに行っていた近所のお爺さんが１年前にイキナリいなくなったのだ。
会話した事のないおじさん（俺）は居ても、
いつものお爺さんはいなくなっちゃったまま。
どこでどうしてるかも分からないまま１年が経って、
亡くなって帰ってきたと二日前に近所から知らされた。
明日にはお骨になっちゃうから、
親戚が帰るのを待って来てくれた。
何年も会ってなかった近所の人や親戚が、
亡くなった親父を見て泣くのが理解出来ない俺。
子供たちが近所の何処のお宅の子なのかが今日初めて分かった。
泣いてた子もいた。
大人と違って、
純真無垢な気持ちで「よく遊びに行かせてくれたお爺ちゃん」と思ってくれてた彼らを、
俺は１年も心配させてきたんだ。
１年前にイキナリいなくなって、
亡くなって帰ってきて、
最後のお別れも出来ぬままサヨナラさせようとしてた俺。
知らぬ事とはいえ、
親父の自業自得とはいえ、
一連の親父の事で唯一後悔する事だった。
明日はいよいよ火葬と告別式。
